ニコ魔術研究所の面々は、とある空き地へ集合していた。ここは、もしもの事があった時の緊急避難先である。
「モノポリアが壊滅した今、研究所の存在価値は無くなってしまいますね。いつキメラがやってくるか分からないから、今まで補助金をもらっていたのに…」
自分たちのこれからを考え、悲しげな顔をするエル。彼女におんぶされるシデンは、すやすやと寝ていた。
「まだ希望はあるわ」
一方、ニコ博士はのんびりしていた。
「『モノポリアの上層部は行方不明』という事にしましょう。ボスも研究員も行方不明の今、キメラ襲来のために研究所は稼動し続けるわよ」
「博士って、利用できるものは全部利用しますね」
いつもの事ながら呆れるアル。また当分、彼は下っぱでい続けるだろう。それよりも彼には、気になる事があった。
「ところで博士、この子はどうするんですか?」
皆の視線がシデンへ向けられる。ニコは表情を変えないで断言した。
「うちで育てましょう。そしてエルミナス2号として活躍してもらうわ。ちょうど敵から奪った変身デバイスもある事だし」
「ケイがいるじゃないですか」
「ケイはペットよ」
その時、ぐきゅうという音が聞こえた。
「ねぇ、早くお昼ごはん食べようよ。もう我慢出来ないよぅ…」
ニコは彼女の頭を撫でた。
「そうね。今日は豪華にいきましょう。アルのおごりよ!」
「え、ぼ、僕の?!」
「アルさん、ごちそうさまです」
「にゃは♪」
悪ノリする2人のキメラから、期待の目を向けられるアル。彼だって余裕は無いのだが、しかし場の空気を壊すだけの勇気は湧かなかった。
「もう、好きにして下さい(泣)!」

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