話はさかのぼって今朝、レイトルは突然、その話を聞かされた。
「2人同時に、ですか?」
「そうだ。もしこれが失敗すれば、モノポリアも解散せざるを得ないからな。先発隊だったワクラバが倒された今、全勢力をもって奴を叩きのめす!」
そう言ってマナギ博士が手渡したのは、真新しいトライデント・デバイスだ。
「お前の能力のおかげで、廃棄処分せずに済んだよ。無惨に散っていった後輩たちのため、奴で焼香をあげてくれ」
「分かってます。初戦で華々しい勝利を飾ってやりますから」
2人は仏壇の前で、手を合わせた。そこにはたくさんの位牌が並んでいる。位牌といっても経費削減のため、割り箸で代用されているが。




「この強烈な音…音響兵器ね?!」
そして今、ルーシェルへ変身したレイトルは、見事にエルミナスたちを追い詰めていた。彼を含め、モノポリアにはもう余裕など無い。洗脳教育が薄れつつある上に負傷したシデンをかばう暇など、あるはずも無かった。
「許せシデン! これもモノポリアのためなんだ! 分かってくれ!」
心の中で叫ぶルーシェル。彼の心を知らないエルミナスは、同僚の命すら惜しまないモノポリアのやり方に、強い怒りを覚えていた。
「やめな、さい…大人気ないわよ…!」
「お前が先にくたばれば、すぐに止めてやるけどな!」
両手から発生する音波を出し続けながら、ルーシェルが突進を始めた。


説明しよう!
直接人を傷つけない武器を非殺傷兵器と呼ぶ。その代表がこの音響兵器だ。
音響兵器も様々な種類がある。強烈な音を流して戦意をなくすもの、超音波を発生して気絶させるもの、などなど。
しかし一番の恐怖は、出力を上げる事によってコンクリートすら破壊する威力を持った殺傷兵器へ変化する事にあるのかも知れない。

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