「痺れて」
両手から漏れる電気が、彼女が本気である事を物語っている。エルミナスは無意識に、デバイスに電流を送っていた。
『SET READY?』
「まだやられないわよ!」
『NAKED SYSTEM GO!』


ウィルオウィスプが掴もうとしたその手は、空を切った。瞬間彼女は、背後へ蹴りを放った。
「惜しいわね」
その足の先には、背後から電撃を流そうと企んでいたエルミナスの、拳を捉えていた。
「姉さん、本当に手癖が悪い」
2人は距離を取る。エルミナス・ネイキッドへ変身した彼女は、黒のロングヘアーをなびかせ、そこに立っていた。
「言う事をきかない妹には、良い薬よ」
鎧という抵抗を失ったエルミナスは、電流をより自然に流す事が出来る。しかしその分、衝撃に弱くなるという弱点も持っている。エルミナスがこれほど早いタイミングでネイキッドへ変身したという事は、彼女が追い詰められている事を意味している。
「あなたの電気を受けて、私も分かった事があるわ」
しかし、あくまで平静を保ったまま、エルミナスは断言した。
「あなたの身体能力は、あまり高くない!」
「…何を根拠に」
「さっきからあなた、電気以外の攻撃をほとんどしてこないのよ。殴ったり、蹴ったり…そういう動きにコンプレックスでもあるのかしら?」
「…」
マスクに隠れたその顔は、『しまった』と言いたげだ。エルミナスの予想は当たっているのである。電撃に関しては文句なしの彼女だが、誕生してから時間が経っていないのが災いした。まだ身体の成長が追いついていないのである。
「つまり、私の電撃が通用しなくても! 殴り続ければ勝機があるわ!」
「…ひどい」
「恨まれるのは、もう慣れたから」

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