「エルさん?!」
突然倒れて現われたエルに、リビング内は騒然とした空気になった。
「皆さん、早く逃げて! 敵が! 敵が出たわ!」
「誰が敵って?」
エルの体に馬乗りになるように、すかさずシデンが襲い掛かってきた。
「こんな手癖の悪い姉さん…嫌い!」
ジリジリと音を立てながら、少女の体内から電流が流れ出る。その電圧はエルの比では無い。体を痙攣させながらも、エルは少女の体を思い切り蹴り上げた。
「きゃっ!」
エルよりも小柄な体格が幸いした。電力の強さに比べて、思った以上にシデンは吹っ飛んだ。その隙に体勢を整えるエル。
「アルさんは博士をつれて外へ!」
これ以上のダメージは許されない。すぐさまフェノメナデバイスを起動させる。
『SET READY?』
「それよりエルさんは?!」
心配そうなアルに、彼女は微笑んだ。
「あわよくば倒します」
『PHENOMENA SYSTEM GO!』


どこからともなく現われた鎧たちは、エルの全身を次々と包み込んでいく。関節の1つ1つまで覆われた、特殊素材の強化服だ。
「雷鳴の申し子、エルミナス参上!」
ぴしりと登場ポーズを決める。
「私だって…」
白い服の裾から、きらりと光るデバイス。トライデントの名の通り、彼女もまた変身する戦士なのである。一番左のレバーを引くと、デバイスは機動を始めるのだ。
『SET READY?』
「戦う理由があるの」
『TRIDENT SYSTEM GO!』


あたりに稲光が走る。電気はいつしか形を帯び、シデンの体に触れると固まり始めた。
「冥界へいざなう者、ウィルオウィスプ参上」
紫と白の鎧が、彼女の純粋さを表していた。鎧の隙間から、彼女の白いロングヘアーがなびいている。そのボディはどことなく、紫色に輝いている。
「姉さん…私に招かれてみる?」

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