開け放たれた玄関口に、1人の少女が立っていた。真っ白な服に、真っ白なスカート。真っ白のロングヘアーが、彼女の神秘性を物語っていた。
ふとエルは、その少女の手に、白杖が握られている事を知った。よく見ると目もつぶっている。彼女もエルと同じ境遇の子だろうか?
「どうかしましたか?」
少女は静かに答える。
「姉さんですね?」
少女はそう言うなり、手にしていた白杖を横に、手荒く捨ててしまった。
「この格好をしていれば、すぐに中へ入れてもらえると思いました」
キッと開かれる眼。その青く輝く瞳は、生気に満ち溢れていた。
「あなたの事です! エルミナス!!」


少女が跳躍した。エルの視界外である空中へ飛び込んだのだ。
「その名を知っているのなら、仕方ありませんね!」
背後へ下がり、少女の第一撃をかわすエル。彼女が着地した途端、エルは電気を帯びた拳を、少女の顔面目掛けて振り下ろした。決して手加減など無い、鋭いパンチだ。
だが少女は、つまらなさそうな顔をした。
「…つまんない」
勢いのついた拳を、片手で受け止めたのだ。しかも、電流が効いている雰囲気も無い。ただただ、平然としているのだ。
「あなた…一体?!」
「そんなに驚く事でもないよ、姉さん」
ほんの少しだけ力む少女。途端エルの右腕に、まるで殴られたかのような痛みが走った。
「くっ!」
電流だ。それも、エルのものとは比べ物にならないくらい強力な電流が、彼女の右腕に走ったのである。思わず手を振りほどくが、それでも痛みはひかない。
「紹介、まだだったね」
乱れた髪を手ぐしで直しながら、少女は名乗った。
「私はシデン。トライデント・ベイビーの第2号キメラ、TB-2型。姉さんはデンキナマズ、私はデンキウナギよ」

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