「そう来ると思ってた!」
エルミナスを包み込むように、セイタカアワダチソウは球体に広がって生え始めた。その姿はまるでプラネタリウムだ。その表面は高速で動き、激しく振動を繰り返す。
「僕も修正させてもらうよ!」
全力をもって、全力とぶつかりあう。今まで経験した事の無い事態に、エルミナスの興奮は極限に達してきた。
「1秒で! ケリをつける!」
それを合図に、植物が破裂した。目にも留まらぬ速さの植物弾が、中心部にいるエルミナスめがけて、一斉に弾けとんだのだ。
今、ナイフのように鋭い葉っぱが、エルミナスの首筋目掛けて…!


『SET READY?』
「ゴメンなさいね…私、よく間違えるの」
『PHENOMENA SYSTEM GO!』


エルミナスの体を覆っていたパーツが、静かに飛び散っていく。その速さに負けずとも劣らない速度で、既にエルミナスは駆け出していた。防御無視の勇者、エルミナス・ネイキッドが降り立ったのだ。
光速とまではいかないが、エルミナス・ネイキッドの速度は桁外れである。パーツによる抵抗を脱ぎ捨てた彼女に、攻撃と速度で勝る者はいないのだ。まるで壁のように集まった葉っぱを、たった一振りの電撃で撃ち落していく。そのまま彼女はユグドラシル目指して、植物のマシンガンの真ん中を走り抜けていく。
ついに視界に、彼の姿を捉えた。もう猶予を与えるつもりは無い。彼女は右手に電気を溜めた。
「0秒でケリをつけてあげるわ」
振られた拳から、まるで隕石のような電撃が、ユグドラシル目掛けてに放たれる。邪魔な障害物全てを黒コゲにしながら、それはどんどん突き進む。その攻撃に気付いた彼は、スローモーションで逃げようとするが、それが焼け石に水である事は、誰の目にも明らかだった。


「『トルニオン・ピラー』」
ポーズを決めるエルミナスの背後では、感電する彼の姿があった。

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