「ライノが殉職して以来、誰もゲームしなくなっていたな」
「あいつが一番好きだったからな、野球ゲームは」
久し振りにゲームのスイッチを入れた古参キメラ・レイトルと、その後輩キメラ・チータ。
「お前、明日戦うんだよな?」
「そう。アイっていう、すごく強い人と一緒に」
明日現場デビューを飾る後輩を、羨ましそうに見るレイトル。その悔しさをバネに、彼は2ランホームランを放っていた。
「先輩、そんなにアルファベッツって凄いの?」
「そりゃもう、比べ物にならないくらい」
まだ3回表だというのに、試合は22点差だった。
「例えば俺達は、エルミナスに倒されると爆発するよな?」
「らしいっすね」
「アルファベッツ達は、それが無いらしい」
「マジで?! すっげー!」
その瞬間もテレビには、ホームランが飛び交っていた。
「最後の最後まで油断するなよ? 最期の爆発に奴を巻き込み、軽い火傷を負わせた先輩もいたからな」
「俺も頑張ろうっと」
明日の戦いに、気合を入れる後輩。しかしゲームは36点差で完敗だった。

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