「砕いてやる! ライノスボム!」
(彼の中では)超高速で突進するライノ。エルミナスはその瞬間を待っていた。
「『CFスキャンシステム』作動!」
鎧に仕込まれたオプションへ送電、作動を行った。
「残念ね! 見させてもらうわ!」


説明しよう!
『CFスキャンシステム』とは、全身から超音波を発信し、周囲を探索する索敵機能の事である。これによってエルミナスは、背後や空中の敵を見つける事が出来るのだ。これは強化服の開発者・ニコが、全盲である彼女のため、特別にこしらえてくれたものである。
ちなみに『CF』とは、ナマズの英語である『キャットフィッシュ』の頭文字の事だ!


「5時の方向、仰角80度…そこで飛んでいるあなたは誰かしら?」
「ちっ! バレた!」
それはカラスのキメラだった。目の前で激しく暴れ、もう1人が空中から狙撃する。つまりライノは囮なのだ。
事態を重く見たライノは、すぐさま叫ぶ。
「作戦中止! 今すぐ戦線離脱しろ!」
「そうはさせないわよ!」
このチャンスを逃しては、人々を守る事が出来ない。エルミナスは豪快に、宙を舞うキメラの、そのまた上空へジャンプした。彼女の両腕からは、バチバチと放電が起こっている。
「必殺! トルニオン・ショック!!」
彼女の掌から、一筋の雷が放たれた。本来落雷位置はランダムだが、そばに電流の流れやすいものがあれば、そこへ落下しやすい。今回は意図的に、敵を狙って放ったのだ。雷はジグザグに進みながら、カラスのキメラに直撃した。
「ぎゃあぁぁ!!」
雷は彼の頭から足の先を通じ、再び地面目掛けて落ちていく。
「ぎゃあぁぁ!!」
その時、地上にいるライノが叫び声をあげた。放たれた雷が偶然、彼にも当たったらしい。こればかりはエルミナス本人も『ラッキー』と思った。


カラスは真っ黒コゲになりながら、地上へと落ちていく。そしてコンクリートとぶつかった時、彼らは同時に爆破した。崩落したビルに2つの爆炎…まるで戦場だ。
「罪なる魂に、裁きの雷を…」
そんな中でも彼女は、決めポーズを忘れないのだった。

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