説明しよう。有限会社モノポリアとは、アパート1棟を購入して作られた会社である。普段はそこで仕事をしながら、破壊活動を秘密裏に行っているのだ。その会議を行うのがここ、2−2部屋である。
「それでは作戦会議を始める」
1DKという狭いスペースに、男ばかりが4人も集まっていた。傍から見れば、大学生の下宿である。
「先日の敗因は間違いなく『故キャンサ氏の1人よがり』であり、我々のもとにある対エルミナス戦用データは、着実にまとまりつつある」
分厚い資料を怪人達に配るマナギ博士。
「お前達はご存知の通り、ここモノポリアでは怪人をカプセルで培養して育てている。巷で噂の『試験管ベイビー』というものだな」
その技術は倫理が問われており、進展しているとはいえない。しかし流石は悪の組織、流石は精鋭科学者。私達に出来ない事を、平然とやってのける。そこに痺れる、憧れる。
…いや、憧れてはいけない。何故なら彼らは、この世界を掌握するつもりなのだから。
「そして今、エルミナスの運動能力はほぼ解読できた。さらに我々の技術力も向上している。奴の陥落も時間の問題だろう」
「それを記したのがこの資料ですね」
「何か質問はあるか?」
「大ありです」
ゴツゴツした肌の男が挙手をした。
「資料の86ページ『普段のエルミナスは全盲の少女である』といっていますが、先日の対キャンサ戦で彼女はキャンサの、空中からの接近を把握していました。奴の空間把握能力は接地物のみではないのですか?」
「鋭いな」
部下の賢さに、マナギは嬉しさが隠せなかった。
「その場合、奴はあの鎧へ電流を流し込み、音波探索装置を可動させる事が分かっている。コウモリやイルカと同じだな。ただし、敵の姿を見失った場合に限る事は、今までの戦歴で分かっている」
「…何者なんですか、彼女は? それに関する記事は、どこにも無いようですが?」
「無くて当然だ。ここからは最高機密情報で、記載する事が出来ないからな」
マナギの目は、いつになく真剣だ。彼は少し思いとどまってから、そのトップシークレットの情報を話し始めた。

 戻る