ニコ魔術研究所は稼動していた。ニコ達の必死な交渉により、以前より少ない研究費を工面しながら、立派に運営してきたのだ。その間にエルはその役目を、シデンに託した。エルは自分よりも才能のある彼女を育てながら、毎日を静かに過ごしている。
一方モノポリアも、決して諦めなかった。街頭販売やティッシュ配りのバイト、果ては銀行強盗での稼ぎを経て、ようやく資金を蓄えたのだ。彼らにあるのは単純明快な目標『世界征服』のみである。何とも分かりやすい連中だった。


彼らは屈辱の敗北をバネに、再び真っ向勝負を挑んできたのだ。その意欲は今まで以上に高く、そして上質である。幾多の経験から構成された、洗練されたキメラ達が、世界を襲い始めるだろう。
だが、不安になる事は無い。甘いも苦いも経験してきた若い力が、それに対抗する力を用意しているのだ。新たに舞い降りた雷神・ウィルオウィスプ――純白の雷光が、その悪意を粉々に粉砕してくれるだろう。
ただ、その純粋な思いが天にまで届くかどうかは、まさしく『神のみぞ知る』といったところか。




祈ろうではないか。
世界の平和を託された、若き神の為に。




――それにしてもこの戦い、ニコ博士の気が済むまで当分続きそうである。

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