1日(日)
この7月を乗り切れば夏休みだ。
ウキウキしているのが自分でも分かる。
なにせ大学は、2ヶ月丸々休みだからな。
気張っていこうじゃないか。
2日(月)
梅雨はもうあけたらしい。
このジメジメがムシムシしてくるのも、時間の問題だろう。
フォルトゥナは薄着で、畳に寝転んでいる。
期待通り過ぎて、逆につまらない。
3日(火)
暑い。
今年の夏は暑い。
いつの間にか梅雨があけたと思ったら、今度はすっかり夏だ。
辛い年になりそうだ。
あのオンボロクーラーで大丈夫なのだろうか。
物凄く心配。
4日(水)
偶然神社でフォルトゥナを見つけた。
デッキブラシを手にあちこちを磨いている。
何でも、今週の土曜日に七夕祭りがあるから、綺麗にしたいのだそうだ。
趣味なのか、仕事なのか、区別が付かない。
とはいえ、あのフォルトゥナにしては珍しくまともな事を言っている。
感心した俺は、掃除を手伝う事にした。
綺麗になっていく境内を見て、嬉しそうなフォルトゥナ。
その笑顔は、まるで夏の太陽よりも輝いているようだった。
5日(木)
サークルの間でも「過去問」の話が盛り上がってきた。
ずぼらな講義なら、これで合格出来るのだそうだ。
俺も先輩から1枚もらった。
なるほど、昨年の問題があるのなら、試験も楽々だな。
6日(金)
フォルトゥナから、明日の祭りを誘われる。
何か裏がありそうで、断っておいた。
すかさず、ユイちゃんも一緒なんだけどな、と付け足すフォルトゥナ。
そんな誘惑に釣られてたまるものか。
俺は首を縦に振った。
私達の浴衣姿、楽しみにしておくのよ。
楽しそうなフォルトゥナの言葉が、頭に残って仕方が無い。
7日(土)
ユイちゃんと鈍ら神様を連れて、近所のお祭りに参加した。
小さい規模ながら、出店もたくさん並んでいた。
楽しそうな2人を見ていると、自分が如何に老けたかを思い知らされる。
俺も昔は、金魚1匹でテンションが上がるガキだったな……。
短冊は全員、誰にも見せようとしなかった。
見せたら願いが叶わなくなるらしいからな。
第一、彼女が出来ますように、なんて願い事は、特にこの2人には見せられやしない。
フォルトゥナは終始ご機嫌だった。
そんなにお賽銭が嬉しいか。
8日(日)
フォルトゥナのポケットは小銭まみれだ。
……怪しい。
9日(月)
難解レポートを提出すれば気が済むんだ?
これ以上俺達を苦しめないでくれ、英語よ!
10日(火)
姉さんから過去問を貰った。
これで生物は合格だ。
ありがとう姉さん!
11日(水)
実験をしてみた。
これでフォルトゥナが本当に神様かどうかが分かる。
種は簡単、印をつけた小銭を賽銭箱に投げ入れるのだ。
もちろんマークは俺だけが知っているものにする。
それが描かれた小銭をフォルトゥナが手にすれば、俺はあいつを神様と認めてやろうではないか。
家に帰った瞬間、実験の成果が分かった。
そこには、缶ジュースを飲むフォルトゥナの姿が。
失敗した、ちくしょう!
12日(木)
サークルにて、テスト前になっても勉強しない確率、87%。
大学って凄いな。
13日(金)
チェーンソーを持った覆面男と運命の出会いを果たす日、それが今日。
クーラーをつけたい。
勿体無いからつけたくない。
家電のジレンマに悶絶する日々。
そんな俺の苦悩を知らないのだろう。
クーラーをつけて、とフォルトゥナは連呼する。
食費を話題に挙げたら、すぐに黙ったけど。
そして今夜も、熱帯夜に苦しむ。
14日(土)
これからテスト期間に入る。
今までのように遊んではいられない。
こればかりは、自分の力を信じるしかない。
神様のくせに、テスト関係はちっとも受け付けてくれなかったからな。
15日(日)
何を思ったのか、今日はフォルトゥナが自ら、掃除洗濯を買って出た。
お小遣いでも欲しいのか?
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