1日(金)
フォルトゥナはまだ怒っている。
自分が感謝されない事が、よほど悔しかったらしい。


夕飯はまたごはんに梅干だった。
梅干は1個から2個に増えていた。
あの食いしん坊も同じメニューなのには驚いたものだ。


早く機嫌を取らなくては。
2日(土)
世の中はすっかり6月だ。
入学してから色々な事があったな。
フォルトゥナが押しかけてきたり、ユイちゃんと知り合ったり、姉さんと再会したり。


これからは6月だ。
祝日の無い6月だ。
がんばらなくちゃ。


……フォルトゥナはまだ機嫌が悪いままだ。
でもアイスを買ってきたら、いつもの彼女に戻った。


段々とこいつの扱いが分かってきた自分が恐い。
3日(日)
実家からたくさんの野菜が送られてきた。
夕飯は冷やしトマトだ。


冷やすだけだから、フォルトゥナも楽そうだ。
4日(月)
いくら何でも夕飯が、2日連続でトマトだけってのは、ちょっと勘弁。
せめて白米を食わせろ。
5日(火)
そろそろ家が暑くなってきた。
もう夏の始まりか。
6日(水)
俺の友人のほとんどが「梅雨」を読めないという事実。
これが噂の、ゆとり教育の弊害というやつか……。


「梅雨」をちゃんと「つゆ」と読めるのって、今ではちょっとしたステイタスなのか。
7日(木)
サークルで姉さんと会話をした。
それだけで幸せな気分だ。


姉さんと一緒にいるとホッとする。
あの小うるさい神様とは違うな。
8日(金)
中間テストは、友達から貰ってきた過去問でバッチリだった。


「大学では友達がいなきゃ生きていけない」という神話は本当だな。
9日(土)
フォルトゥナは漫画ばかり読んでいる。
本人曰く、漫画以外の本を買ってきなさい、だとか。
それにしたって、これだけ無為徒食の神様は、世界中探しても彼女くらいなものだろう。


せめてバイトでもして、食費ぐらい払って欲しいものだ。
10日(日)
窓の外のプランターの存在を、今日知った。

食べ物を切らさないため、フォルトゥナが育て始めたのだとか。
そこでは大根や人参がすくすくと育っていた。


自家製野菜兼非常食を勝手に食べられないよう、俺には黙っていたらしい。
食うかよ、お前じゃあるまいし。
11日(月)
フォルトゥナの料理のレパートリーの多さは異常。


確かに俺は言ったさ。
和食以外に作れないのか、と毒を吐いたさ。
だからって、それからたった数日で、ロールキャベツを作って見せるとは……。


してやったり顔のフォルトゥナ。
どうやらこいつは、俺を驚かすためなら、何でもしそうだ。
12日(火)
サークルのメンバーから遊びに誘われた。


しかし、もうすでに今月はピンチだ。
俺は泣く泣く、彼らの誘いを断る事に。


今日も俺は、呑気なフォルトゥナの顔を睨みながら、1日を過ごした。
13日(水)
大学からの帰りに、神社に寄った。
落ちに落ちている金運を上げるためだ。


だけど、金運のためにお賽銭を投げるのって、矛盾していないか?
納得いかないまま、俺は100円玉を投げ入れた。


家に帰ると、フォルトゥナは嬉々として俺を出迎えてくれた。
何も間違って無いわよ、と言いながら、100円玉を貯金箱に収めていた。


だから、あいつは何故、俺の行動を知っているんだ?
14日(木)
テレビのニュースが、傘マークをでかでかと写していた。
どうやら今日から梅雨らしい。
これからジメジメするのかと思うと、何とも鬱になる。


フォルトゥナも嫌がっているようだ。
これからあなたの怒り方もジメジメするのね、と呟いたくらいだからな。


もちろん殴った。
爽やかに殴った。
15日(金)
珍しくフォルトゥナがウキウキとしている。
明日、ユイちゃんと遊びに出掛けるらしい。


俺も誘うよう、恥を忍んで頼んでみた。
それはユイちゃん次第ね、という返事がやってきた。


期待していなかっただけに、その答えがなんと嬉しかった事か。
今夜はとても眠れそうに無い。

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